【初心者向けコラム】関税ってなあに?①
貿易のお仕事をしているとよく聞く言葉の一つが「関税」。
なんか貿易の時にかかる税金だよね、という認識はあっても、
・誰にかかるのか
・いくらかかるのか
というところまでは、なかなか詳しく知らない初心者の方が多いかもしれません。
関税とは何か、ということをとてもざっくりまとめると、
「外国から安い商品が入ってきたら自国の商品が売れなくなってしまう。だから輸入品には輸入する時に税金を取ることにして、高い値段でしか売れないようにしてやろう!」
という目的で取られる税金です。
例えばチーズ。
仮に日本産のチーズの価格が100グラムあたり200円、外国産のチーズの価格がグラムあたり100円だとします。
これだと、値段が2倍の日本産チーズを買う人は少ないですよね。
そこで政府は、国内のチーズが売れなくなるという事態を防ぐため、外国産のチーズを輸入する時は35%の関税を税関に納めなければならない、という決まりを作りました。
輸入者は100円に対して35%の税金を納めて輸入するので、その時点で原価が135円になります。
対して国産のチーズを仕入れると200円。
100円vs200円だと戦いにならなくても、135円vs200円であれば、「ちょっと高いけどやっぱり国産のチーズを買おう」という層を取り込めるかもしれません。
そうすると、国内産業が大打撃を受け衰退することを回避できます。
これが、ざっくりとした「関税」の役割です。
チーズは35%でしたが、他のものはまた税率が違います。
あなたの身の回りにある、スマホ、お財布、コピー用紙、鉛筆、お茶、、、およそ目に入る全てのものに、ひとつひとつ関税率が定められているんですよ。
次回(3月12日)は、それぞれの関税がいくらか調べる方法をお伝えしますね。
(つづく)
・・・<<中級者向けのおまけ話>>・・・
この「関税で自国の産業を保護する政策」が行き過ぎてしまうと、異なる国の間での貿易が縮小し、輸出で生計を立てている国はお金を稼ぐ手段がなくなり、困窮打開の手段として戦争が始まってしまうかもしれません。(これが第二次世界大戦の原因でした)
世界の国々はこの経験を反省し、戦争を防ぐためできるだけ関税を撤廃しようと努めてきました。
最近話題のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)や日EU経済連携協定(EPA)もこの流れの一つです。
日本に入ってくる商品の関税が下がり、国内に安い輸入品が出回ることで国内産品が打撃を受けることだけが大きく取り上げられがちですが、逆に言うと海外で日本品を輸入する時の関税も下がるわけです。
ちなみに日EU間のEPAでは、日本からの輸出品の内、醤油・緑茶・酒類の外国でかかる関税が即時撤廃。
TPPでは日本からの輸出品の内、11か国で98.5%の品目の外国でかかる関税が順次撤廃されます。
ピンチはチャンス、これを逆手に取って「攻めの輸出」に転じてみてはいかがでしょうか。