輸出書類の流れと、作業チェックリスト完全版
こんにちは。坂田貿易支援事務所の貿易実務代行担当、フォワーダー出身のIです。
貿易実務を始めたころ、「書類を作るためのデータ来たっけ?」「許可書がきてない気がするけど、通関はどうなったっけ?」と混乱していたのは、ほかならぬ私です。
貿易実務もペーパーレス化が進みましたが、未だにFAX・原本発送・PDF・データと色んな様式で情報が集まってきます。また1件の処理が終わった際、膨大な書類が手元に残り、保管すべき書類がわからないまま、とりあえず箱に入れて蓋をしてしまう方も多いのではないでしょうか。
今日は輸出を元に、書類の流れを確認していきましょう。
こんな方におススメです
- 書類の流れを整理したい
- いつ・どこで・誰が作成しているかを明確に知りたい
- 保管すべき書類を知りたい
この記事では、輸出先の取引相手をConsignee(取引先・荷受人)と表記します。
輸出書類の流れ① 事前準備・Booking完了
輸出書類を作成する事前段階として、取引先との契約が完了している必要があります。契約書やOrder Sheet・Proforma Invoice(発注書・見積書)の内容に沿って、フォワーダーへのBooking(予約)も完了して、初めて通関書類の作成に取り掛かることができます。
書類作業チェックリスト

- ✓ 取引先と契約が完了している
- ✓ 輸送する商品・数量・輸送方法・納期・支払い方法が決まっている
- ✓ 納期に沿ったBookingをフォワーダーへ依頼した
- ✓ Booking完了し、フォワーダーからスケジュール詳細が送られてきた
- ✓ スケジュールに間に合うよう、貨物の準備が可能である
上記チェックリストが全てクリアになったら、いよいよ書類作成に取り掛かりましょう。
輸出書類の流れ② 書類作成(Invoice・PL・SI)
輸出書類の流れ①の情報を元に、以下3種類の書類を作成します。
①インボイス(Invoice、I/V、Inv、IV)/仕入書、商業送り状
貨物の価格や決済方法を表す書類です。
サンプルなどの無償提供貨物の場合も、必ず課税参考価格として有償だった場合の価格を記載する必要があります。
②パッキングリスト(Packing List、P/L、PL)/包装明細書、梱包明細書
輸出貨物の個数、包装後のサイズや重量、容積、どのように包装されているかを記載する書類です。
インボイスに記載すべき情報とパッキングリストに記載すべき情報を1つの書類にまとめて記載し、兼用書類とすることもあります。(I/V & P/L)
③シッピングインストラクション(Shipping Instruction、S/I、SI)/船積依頼書
船会社や航空会社がB/LやAWBを作成する際に、情報のベースとなる指示書です。
必ずしも必要ではありませんが、L/C決済でB/Lへの記載内容に指定がある場合などに使用します。フォワーダーから所定のフォーマットに記入を求められることもありますので、その際は指示に従って作成します。
④その他
相手国や取引先の要件によって、原産地証明書や保険書類、商品に関する認証・許認可書類が別途必要になるケースがあります。
作成後の流れと注意点
①②は作成後、ConsigneeにPDF等で送り、間違いないか確認をしましょう。発送後の商品違い・価格違いは大きな問題に発展します。問題なければフォワーダーへ情報を展開し、通関手配をすすめます。手配は、書類のPDFをメール送信することが多いです。
この時重要なのが、書類と貨物が「通関期日に間に合っているか」です。Bookingが完了したらスケジュールを逆算して、早めに作成・確認を進めましょう。
書類作業チェックリスト
- ✓ ①~③の書類を作成した
- ✓ ①・②の書類を取引先に確認依頼し、問題ないと連絡があった
- ✓ ①~③の書類でフォワーダーに通関依頼をした
- ✓ 輸送貨物は指定倉庫・コンテナヤードへの搬入手配が完了している
- ✓ ①~③と搬入は通関スケジュールに間に合っている
輸出書類の流れ③ 貨物搬入・輸出申告・許可書入手
ブッキングした船や航空便のスケジュールにあわせて、貨物を保税地域(または保税倉庫)に搬入します。特にFCLの場合は、バンニング作業(コンテナへの積み込み作業)が必要なため、日程に余裕を持たせて作業しましょう。
書類と貨物が揃ったらフォワーダーが輸出申告を行い、税関の通関許可がおりると許可書が送付されます。現在、許可書はPDFをメール送信されることが増えました。
その他、食品検査・植物検疫・動物検疫・輸出貿易管理令に基づく検査を受ける場合、取引国では検査証の原本が相手国の通関時に必要な場合があります。その際は、フォワーダーから原本を入手しておきましょう。
書類作業チェックリスト
- ✓ 貨物が保税地域(保税倉庫)に搬入された
- ✓ 通関許可がおり、フォワーダーから許可書を入手した
- ✓ その他必要な検査を受けた場合、必要に応じて検査証原本を入手した
輸出書類の流れ④ 出港・B/L入手
輸出許可がおりると、フォワーダーがB/L作成にはいります。
Dock Receipt(B/Lのもと)やB/Lドラフト(仮のB/L)がフォワーダーから送られてきたら、内容をチェックします。ここが間違っていると、B/Lも間違ってしまいます。特にL/C決済の場合は、1文字のスペルミスでも決済に影響がある可能性があるので、気をつけてチェックしましょう。
B/Lは出港日以降に発行されます。船が遅延している場合、出港するまで発行されません。また週末や連休中に出港した場合は、翌営業日に一斉配信されることもあります。B/Lの発行日はフォワーダーに確認しましょう。
書類作業チェックリスト
- ✓ フォワーダーからの事前チェックが完了した
- ✓ 船が出港した
- ✓ B/Lを入手した(オリジナルの場合は原本3部・SWBやAWBはPDF)
★業務がワンランクアップする2つのポイント
①コピーを先に入手しておく
オリジナルB/Lは3部発行され、原本が送られて来るので入手するまでに時間がかかります。B/Lが発行されたら、コピーをPDFやFAXで事前入手しましょう。
②遅延はConsigneeへ一報を
天候不順や寄港の順番の入れ替えなどの事情で、出港が予定より遅れるのはよく起こります。到着予定日も変わる場合は、Consigneeに一報を入れるよう心がけましょう。
輸出書類の流れ⑤ 取引先への書類送付
B/Lを入手したら、輸出書類を揃えてConsigneeへ送付します。
現地通関に書類原本(B/L・原産地証明書や各種証明書など)が必要ない場合は、メールに添付する形で送付完了になるケースが多いです。
書類原本の送付が必要な場合は、現地に貨物が到着するまでに届けられるよう発送手配をしましょう。(航空便の場合は、専用の封筒に入れられ航空会社へ引き渡されます)
L/C決済の場合は銀行に持ち込みます。
なお、オリジナルB/Lは輸入通関に原本が必要になるためConsigneeに送付しますが、紛失や消失して相手に届かないリスクがあります。B/Lがなければ、貨物が届いても受け取ることができません。Consigneeが確実に貨物を受け取れるようにするためにも、B/Lは分けて送るほうが安全でしょう。
2部と1部に分けて発送する、または2部発送し1部はShipper保管する所もあります。どちらにせよ、取引先に事前確認しておきましょう。
書類作業チェックリスト
- ✓ オリジナルB/Lの場合、発送方法が決まっている
- ✓ Invoice・Packing List・B/L(AWB)を現地へ発送(メール送信)した
- ✓ (必要な場合のみ)原産地証明書、その他証明書、保険証券を送付した
輸出書類の流れ⑥ 書類の保管
現地への書類発送が終わると、ようやく一息つきたくなるもの。貿易実務あるあるです。しかし、本当に大切なのは【保管】です。最後まで気を抜かずに進めましょう。
まず輸出許可書は5年間、納税地等で保存が必要です。許可書だけでなく、書類一式(Invoice、Packing List、B/L(コピー可)、許可書、その他証明書)は保管しておきましょう。データ、紙、どちらでも構いませんが、すぐに見返しが出来て、紛失しにくい工夫をしておくと良いですね。
もし輸出時の消費税還付金を受け取る際は、7年間の書類保管が必要となってきます。還付時には輸出許可書を保存していても、税関の事後調査の際に紛失していると追徴課税となる可能性があります。
▼消費税還付についてはこちらの記事をご覧ください
まとめ
輸出業務は、書類の流れを把握しているだけで、ミスと焦りが大幅に減ります。今回ご紹介したチェックリストを、ぜひ日々の業務に活用してみてください。
「自社の書類フローを整理したい」「どこから手をつければいいかわからない」という場合は、お気軽にご相談ください。

