為替差損を出さないために、輸出入企業は為替予約の活用を!
皆さんこんにちは、坂田貿易支援事務所の認定貿易アドバイザー、石川ゆきです。
長く円安傾向が続いていましたが、最近はタイミングによってはやや円高方向に動くことが多くなってきました。
今後も円高に進む可能性があるため、今後ドル建ての輸出取引予定がある方は、現状のレートで利益が出るのであれば銀行を利用した為替差損を防ぐ方法を知っておいてください。
また輸入企業の方は、円高に振れたタイミングで下記の対応を行っておくことで通常より良いレートで輸入取引の支払を行うことができます。ぜひ活用してみましょう。
為替予約とは
簡単に言うと今のレート(例えば1ドル=157円)で外貨(例えばドル)と円を両替する権利を、手数料を払って金額と期間を指定して銀行に予約しておく仕組みです。
予約した期間・金額であれば、今後ドル円相場が1ドル100円になろうと200円になろうと、予約した1ドル157円で両替してもらえます。
ただし注意しなければならないポイントは、相場が有利になった場合でも原則予約を取り消すことはできず、予約したレートで両替しなければいけません。
例えば輸出者の場合、契約時に1ドル157円(この時点で為替を予約)、代金受取時に1ドル200円になっていればもちろん200円のレートで円転したいところですが、1ドル157円の予約を実行しなければなりません。
このように、為替予約は「為替差損を出さない」ことにフォーカスしたリスク回避の方法であり、為替差益は期待できない方法になります。
通貨オプションとは
一方、為替差損を回避しつつ、為替差益の可能性も残したい場合に利用できるのが通貨オプションです。
為替予約は現実の外貨レートがどうなっていようと期限日には必ず実行しなければなりませんが、通貨オプションの場合はあくまで「そのレートで交換する権利を買う」だけなので、もし実行日にレートが逆に良くなっていた場合は権利を放棄、つまりキャンセルすることができます。
為替予約・通貨オプション、おすすめはどっち?
為替差益の可能性も残すということで通貨オプションの方がよいのではないかと思われるかもしれませんが、私のおすすめは為替予約での対策です。
為替予約は手数料はかかりませんが、通貨オプションは「プレミアム」という手数料がかかります。プレミアムは予約時のレート、実行時のレート、期間、金利などによって変わるため、見込み利益が変動してしまいます。
また、為替差益で儲けようというのは貿易取引というよりもややギャンブルに近くなります。
為替差益を狙うのではなく、着実に利益の出るレートで為替予約を行い、為替差損を出さないことを優先することをおすすめします。
為替予約・通貨オプションのやり方は?
やり方は銀行により異なりますので、取引銀行の国際部の方に確認するのが確実です。
電話で受け付けてくれる銀行もあれば、オンライン上で自分で操作する銀行もあります。
為替予約・通貨オプションは与信が関わりますので、財務状況によっては利用できない場合もあることにご注意ください。
為替予約・通貨オプションが使えない場合はどうする?
与信の状況によってはこれらのリスクヘッジが使えないことがあります。
その場合は外貨建てではなく円貨での取引を提案する、または見積組み立て時の外貨/円のレートにリスク分上乗せして計上しておくなどの方法があります。
もし同じ外貨で輸入も行っている場合は、外貨のまま輸入代金の支払用にストックしておくのも良いでしょう。
セーフティネットを総動員して為替リスクを乗り切ろう!
今後為替相場はどちらに動くかわかりませんが、為替で利益を出そうとは考えないことです。
ギャンブル的に相場の上昇を待つのではなく、確実に利益が残るタイミングで利確させることが大事です。
私もリーマンショック時は為替予約をフル活用して為替の乱高下を乗り切りました。
見積もり時の為替差損リスクの上乗せ、契約時の為替予約の二つがあれば、少なくとも為替の乱高下による傷は最小限で抑えられます。
輸出、輸入ともに今後どのように動くか不透明ですが、セーフティネットを総動員して乗り切りましょう!

