フォワーダー(乙仲)との円滑なコミュニケーション術 現場のミスを減らす伝え方

フォワーダー(乙仲)との円滑なコミュニケーション術。現場のミスを減らす伝え方

みなさんこんにちは。坂田貿易支援事務所の貿易実務代行担当、フォワーダー出身のIです。

貿易実務を始めると、フォワーダー(乙仲)や通関業者とのやり取りに戸惑う場面が出てきます。

・「急いでほしい」と依頼しても「できません」と断られてしまった
・専門用語が多く、正しく伝えられているか不安になる
こんな経験をされたことはありませんか?

フォワーダーは「荷物を運ぶ業者」のようなイメージを持たれがちですが、実際はそれだけではありません。
輸出であれば決められた船、飛行機に貨物を載せるため、輸入は希望日時に貨物を届けられるよう、貿易に関わる複雑な業務を進めています。

フォワーダーとの連携がうまくいくと、トラブルやミスが減り業務効率が上がるだけでなく、いざという時に頼れるパートナーになってくれます!
そこで今回は、フォワーダー出身の私、Iが「物流業務がスムーズになるコミュニケーションの秘訣」をお伝えしたいと思います。

この記事はこんな方におすすめです。

通関業者と円滑に業務を進めたい方
ストレスとミスの少ない連絡方法を知りたい方

フォワーダーの業務と役割について

フォワーダーの業務と役割について

まずは、フォワーダーが主に担っている業務を学びましょう。

通関業務

通関業務とは、貨物を輸出・輸入するために必要な税関申告・許可取得を代行する業務です。
輸出入に関わる法律や規制は複雑で、HSコードの決定から関税の計算、税関検査の立ち合いまで行います。
貨物によっては食品衛生法・薬機法・輸出貿易管理令など複数の法令が絡むこともあります。

船積み手配

船積み手配では、船会社や航空会社へのブッキング手配を担います。
スケジュールの確認、貨物のスペースの確保、B/Lの発行手続きまで行います。

港湾作業

港湾作業とは、コンテナターミナルや上屋(うわや)での貨物の搬入・搬出・仕分けといった作業を指します。
貨物をコンテナに詰める「バンニング」や、逆に取り出す「デバンニング」もこの工程に含まれます。
港湾には搬入締め切り時間が厳格に設けられており、数分の遅れも許されないことがあります。
また、危険品・冷蔵品・重量貨物などは、品目ごとに異なる規制・設備・手続きが求められます。

保管・輸送

貿易貨物は輸出入の前後に、港湾や空港周辺の倉庫で一時保管されることがあります。
フォワーダーはこの保管手配に加え、国内輸送もコーディネートします。
輸入であれば、港から倉庫・倉庫から納品先までの手配も可能です。
保管日数に合わせて倉庫料が発生します。

円滑なコミュニケーションに必要な3つのポイント

円滑なコミュニケーションに必要な3つのポイント

フォワーダーの業務を踏まえて、貿易実務をする上で、何に気を付けて、どんな情報を伝えることが必要なのか、気を付けるポイントを3つご紹介します。

メールのテンプレート化

メール連絡で多いミスが「伝え忘れ」と「認識のズレ」です。
その解決策として効果的なのが、メールのテンプレート化です。
「船積み依頼メール」「通関依頼メール」など業務パターンごとにひな型を作成しておきましょう。
テンプレートには後述の必須項目(インコタームズ・スケジュール・品目情報など)をあらかじめ組み込んでおくと、記載漏れを防げます。

また、テンプレートをフォワーダーと共有・すり合わせておくことで、「いつもこのフォーマットで来る」という安心感が生まれ、先方の確認作業も効率化されます。
慣れてくると1通のメールで必要な情報が完結し、往復のやり取りが大幅に減ります。

必要書類の早期展開(インボイス・パッキングリスト・B/L・HSコードなど)

フォワーダーがスムーズに業務を進めるうえで、必要書類の早期共有は欠かせません。
インボイス・パッキングリスト・B/L・HSコードなどは、通関申告の必須情報です。
これらが揃っていないと申告作業がストップし、貨物の搬出や引き取りが遅れる原因になります。
「書類は揃ってから送る」ではなく、「揃い次第、順番に展開する」意識が大切です。
また、書類の内容に変更が生じた場合は、古いバージョンとの混同を防ぐため、修正版であることを明記して速やかに送り直しましょう。

メール履歴を残す

どんな業務にも言えますが、口頭や電話での指示は手軽な反面「言った・言わない」のトラブルが起きやすいという落とし穴があります。
そのため、重要な依頼や変更事項は必ずメールで残す習慣をつけましょう。

電話で話した内容も「先ほどお電話でお伝えした件、以下の通り確認させてください」と事後メールに落とし込むことで、双方の認識を揃えられます。
メールの履歴は万が一のトラブル時の証跡にもなります。
件名には、案件名や船積み番号を入れておくと後から検索しやすくなります。

もっと円滑に進めるための3つポイント

円滑なコミュニケーションに加えて、さらに貿易実務がレベルアップするポイントを3つお伝えします。

スケジュールの逆算

「〇月〇日に届けてほしい」という納期が決まったら、逆算してスケジュールを組む習慣を身に着けることです。
たとえば海上輸出の場合、納品日から逆算すると「現地配送日→現地入港日→本船出航日→港搬入(カット)日→通関申告日→工場出荷日」と必要な日程が見えてきます。

この逆算スケジュールを通関業者と共有することで、「その日程は難しい」「この便なら間に合う」といった実務的なフィードバックが早期に得られます。
スケジュール表やカレンダーに書き込んで見える化しておくと、社内の日程調整もスムーズになりますよ。

専門用語を習得

フォワーダーとの会話でよく登場するB/L・AWB・インボイス・パッキングリスト・デマレージ・HSコードといった専門用語を習得しておくと、コミュニケーションの速度と精度が格段に上がります。
用語を知らないまま会話が進むと、確認のやり取りが増え、最悪の場合は誤った指示を出してしまうリスクもあります。

すべてを一度に覚える必要はありません。自社の業務で頻繁に登場する用語から少しずつ理解を深めていくのが良いですね。
わからない言葉はその都度確認するだけで、担当者としての信頼度は大きく変わります。

新規貨物の情報は事前に共有する

初めて輸出入する製品は、通関業者にとっても確認事項が多く、申告までに時間がかかります。
新規製品が発生した際は、できるだけ早い段階で製品名・素材・用途・製造国・価格帯などの情報を通関業者に共有しましょう。

特にHSコード(関税分類番号)は、関税率・規制・必要書類に直結する重要な番号です。
事前にフォワーダー(通関業者)と確認・合意しておくことで、本番の申告がスムーズになります。
「製品が港に着いてから調べる」では通関が止まり、保管料など費用が加算される場合もあります。

貨物情報の開示に「情報漏洩が心配…」と感じる方もいるかもしれませんね。
通関業者は通関業法第19条により厳格な守秘義務を負っています。
顧客名・貨物情報・価格などを正当な理由なく漏洩・盗用することは禁じられており、違反すれば刑事罰や許可取り消しの対象となります。
安心して必要な情報を共有しましょう。

「外注先」から、共に歩む「パートナー」へ

「外注先」から、共に歩む「パートナー」へ

フォワーダーとの関係は、単なる「外注先への依頼」ではありません。
同じ貨物を動かすチームの一員として、情報を正確・迅速に共有し合うパートナーシップが理想の形です。
書類の早期展開・メール履歴の記録・逆算スケジュールの共有・専門用語の習得、これらはすべて「貨物を期日通りに動かす情報を渡す」という一点に集約されます。
こうしたノウハウと同じくらい大切なのが、日々の積み重ねで育まれる信頼関係です。
丁寧な応対、日常的な感謝の一言が、いざというときに「なんとかしてもらえる」関係を作ります。
人と人のつながりを大切にしながら、できることを一つずつ実践してみてくださいね。

執筆者:I(坂田貿易支援事務所 貿易実務代行担当)

貿易実務とフォワーダー業、合わせて約16年の現場経験をもとに、輸出入に関わる皆さんが国際輸送をスムーズに進められるようにお手伝いをしています。絶賛子育て中です。好きな食べ物はプリンです(固め派です)。

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